Ongoing Collective DIARY

ヨーテボリ滞在記04
2020年6月19日伊佐治雄悟

今日夜中にパソコンを見てダラダラしていたら、警察の様な強めのノックの音がして驚いた。スタジオに人が訪ねてくることは珍しいが、ヨーテボリでこれ程強めのノックをする人はヨハンしかいない。ノックされた時の英文例は記憶になかったが、とりあえず「Hej! What up?!」と元気よく行ってみる。ドアを開けるとやはりヨハンが、「何してる? Can I come in?」と文字通り土足で、入って来たので快くビールを提供する。何の用事かと思ったが、しばらく話しているうちに明日に夏至を控えて、多分ソワソワしていたんだろう。そう言えば自分もクソ長い日照時間のせいで躁鬱状態になっており、深夜徘徊を繰り返していた。今まで聞き逃していた彼の故郷や、ニューヨーク、ベルリンに住んでいた時の話を聞き出した。台湾に数ヶ月いた時は、若かったし自分が成長している感じがして幸せだったけど、季節が変わるくらい長く外国にいると勝手に自分が変えられている気がして心地が良い。日本に帰ったらまた元に戻ってしまうだろうか。
レジデンスする上で自分に課しているルールが一つだけあって、それは誘われたら全て断らないことだ。出不精なのでそのルールがなければ、ずっとyoutubeを見ていることになってしまう。印象的だったお誘いはやはりサウナでしょう。こちらに来る前からスウェーデン人は冬にサウナに入って、そのまま海に飛び込むって噂を聞いていたんだけど本当だった。「死なないの?」って聞くと必ずどいつも爆笑する。2月にこっちで知り合った女性にサウナに誘われた。「水着とかいるものある?」って聞いたら、どうやら日本の温泉みたいな感じで水着は着れないらしい。サウナがあるSaltholmenに向かうトラムでナーバスな気分になった。知り合いの女性と裸で冬の海に飛び込むのか。。途中駅でアコーディオンを持ったおじさんが乗って来てセントオブウーマンで印象的だった「ポル・ウナ・カベサ」を演奏し始めた。おかげで気分が紛れたのでチップを渡したが、少なかったのか微妙な顔をされた。
セントオブウーマンは母親が好きな映画の一つで、彼女は好きな映画を観た後はとても機嫌がいい。だからか事あるごとにこの曲を思い出してしまう。例えば台湾のレジデンスで日本語ペラペラのドイツ人女性に会って彼女がいつも自分がアルゼンチンタンゴを嗜んでいる事、ブエノスアイレスが如何に美しいかを話すので、何となくこの曲を思い出して「アルゼンチンタンゴってセントオブウーマンの曲も?」って聞いたら優しく「ちょっと違う」と教えてくれた。彼女は文学の研究者で当然日本文学をよく知っていた。安部公房の話をしたら思いの外盛り上がって嬉しかった。彼女が帰国する際、荷物を運ぶのを手伝って彼女がタクシーに乗る前に生まれて初めて西洋式のハグをした。今でも慣れないので、コロナでシンプルな挨拶になって安心している。
いざサウナに入ってみると周りが裸であるよりも、自分が屋外で裸ん坊であることの方が重要な気がして来た。とても自然な感じがした。みんな全裸で叫びながら海に飛び込んで、スウェーデン感を堪能した。

伊佐治

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