Ongoing Collective DIARY

都市
2019年5月29日

「霧のロンドン」というのは、天候で起こる霧ではなく、産業革命時に石炭の煙による大気汚染で曇った空を見てそう呼ばれたのだろう。と思っていたが、案の定それに近いようだ。(誤りがあるかもしれないが)1番大きな事件は1952年に起こった大気汚染が原因で1万人程が死亡したスモッグのことらしい。この都市の地下鉄は世界初であり、あの体にまとわりつくような空気は「100年前から一回も空気の入れ替えをしていないのではないか」という疑惑を持たせる。鼻の中も黒くなる。私はこの大都市の歴史と記憶とその遺産に飽きることはないだろうなと思う。

大学院のアトリエが狭いのと、外部との接触のために今月からスタジオを借り始めた。予算は“ロンドンでそれはあるわけ無い。”と言われるであろう強気の額だ。しかし見つかった。アトリエは「SET」というロンドン市内に3,4つほどアトリエ群を保有するチャリティ団体が運営している。アーティストに安いアトリエを提供する目的のチャリティであるから家賃は安い。しかも予想よりも感覚的に10倍くらい広い。閉店した赤ちゃん用品店(倉庫のような)をアトリエに改造していて、大きな赤ちゃんの写真がまだ壁に飾ってある。求められた提出書類の中で面白いなと思ったのは家主に対し「スクウォット(不法占拠)をしません」という証明証、司法書士のサイン付きでなければいけない。数年以内に取り壊すであろう建物をSETが借り、それを貸し出している。だから家主が「建て替える」と言いだしたならば私達は速やかに退去をしなくてはならない。ロンドンの前に住んでいたベルリンは社会主義的な考えがあり、アパートの借主の権利は守られているため、大家が退去させるのは容易ではない(借りるのも容易でない)。この都市はまさに資本主義で極端だ。

アトリエは南東、テムズ川を渡った南側ルイシャムという駅の近くにある。私はこのルイシャムと自宅の電車がとても気に入っていて、その電車はモノレールで、さらに銀行街のビル群の中を走っていくのである。車窓は、生活感のかけらもなく、全てレゴで作られているかのようなのだ。その光景は東京を思い出すし、もしくは他のアジアの首都でもありうる。ヨーロッパの他の場所ではこのような光景はあまりお目にかかれない。高層ビルはアジア的な景色なのだ。

蛭子未央

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