Ongoing Collective DIARY

昼も薄明
2020年4月20日多田佳那子

そういえば暫くの間、スピーカーを通して音楽を聞いていなかった。大きい音量で聴くと、音が部屋中ぐるぐる回っていて気持ちがいい。Frank Oceanの、Self Controlという曲が大好きなので何回も聴く。「国境は閉まっている」のが今の世界の、憂さの一つなので、目をつぶって、それを聴く。身体が遠くに行っている画像を五感にリクエストする。

//////私は、Sのことを安全で、絶対に私を傷つけたりしない人間だと思っていた。しかし、その正体は、S本体ではなかった。彼は、勤勉なプロテスタントに紐付けられている、安っぽい「実力が同じだから頼れる」を体現してくれる偶像。競争が好きで、デモクラティックなものを信じている。私にもそういう所があるから、たまたま同じパーカーを着ている人を街で見かけた、くらいの偶然性でしかなかった…。それが分かっただけでも十分だと思う。
その証拠に、こちらから手を離さなくても、「あちら」から、離してくれたわけだし。

自己と他者の境界は、細胞膜みたいなものだと、この間、誰かが言っていた。受け入れるものがあれば、受け入れるとして、排出したいものは、そうして取り込まないようにする。私は、31年間生きてるけど、まだ出来てるとは思えなかったし、むしろ私にとっては、潮の満ち引きみたいに、勝手にやって来たり去ったりするものだった。だから、細胞膜というアイデアは晴天の霹靂だった。ほんとに、嵐がやんで、ぱきっと快晴になるような。今日、読了した柴田元幸さんの本。氏が、翻訳を始めたのは35歳の時だったという。「境界」を細胞膜として受け入れることを始めたとしても、ちっとも遅くないと、この間31歳になった私は、身勝手な解釈をした。お腹の底から喜びが、がんがん育ってくる。私は運命を受け入れる時を待つのだ。

多田佳那子

2020/4/18 風が強くてめっちゃ雨・暗〜
2020年4月18日

今日まずお知らせしたいのは、今晩(18日)19時から榎本さん企画のオンライントークがあります!

418日(土)19:00

インターネット配信トーク

「マンガ的人間、マンガ的風景」

登壇:眞島竜男(アーティスト)、地主麻衣子(アーティスト)、千葉正也(画家)、榎本耕一(画家)

https://www.youtube.com/channel/UC0j0haeaBVhEJxybms3YUrw?sub_confirmation=1&fbclid=IwAR3nic3yo272wPEMrd1Tvc8tL23r1dXqoGib8-k6QXZbVwSbok08OrundCw

ひさびさの人前。しかし家の前のパソコン。どの服を着るか、化粧をするか否か。そして、脳みそがちゃんと働くか。

——

 

昨日はるかちゃんからハプコメをまとめるウェブサイトについてのメールがきた。

はるかちゃんとうらちゃんがこんなことをやっていたなんて・・・!素晴らしすぎる。

そういえば数年前にハプコメを書いて送ったことがあるけれど、最近はもう意味ないのかな、なんて諦めてしまっていた。

こういうマインドはだめだな、と思い直した。ありがとう。

友達からこういう提案が出てくるのは心強いしとても嬉しい。

私もハプコメ書こうと思って書き始めたけど、いざ書こうとすると結構難しい。カジュアルに思いを書けば良いんだろうけれど。

でも書くね。そして、一回だけじゃなくて、これからはツイッターになにか不満を書きたいなと思ったら直接ハプコメに書くようにします。

 

10万円給付は外国人も対象に含めるという報道をみて、心底ほっとした。

当たり前のことだけれど、今の政権だと外国人には給付しない、というのもやりかねなかったと思う。

これもツイッターやハプコメ、意見書などでみんなが声をあげたことが影響していると思う。

今、文化人類学者のKさんという人と一緒に本をつくっているので、日常的にひんぱんにやりとりをしている。

Kさんは、もう10年以上も日本で働いていて、日本人と結婚しているけれど、いわゆる外国人、日本国籍を持たない人だ。

4/3から適用されている措置で、いまのところ期限はなく、彼女は日本から出国できない状態だ。

もし出国してしまったら、帰ってくるときに入国拒否されてしまう。

https://www.anzen.mofa.go.jp/info/pcwideareaspecificinfo_2020C046.html

これは一見、コロナウイルスの感染経路を断つために仕方のないことのように見えるけれど、実のところおかしなことで、

Kさんと一緒に他の国の措置を調べてみたけれど、他のほとんどの国は市民権や住民票を持っていれば国籍がなくても原則入国できるし、配偶者や家族であれば入国できると明記されていた。

不要不急の旅行者ではなく、この場所に家があり、仕事があり、家族がいる人が入国拒否されるというのはちょっとおかしい。日本国籍を持っている人と同じように2週間隔離するのじゃなぜダメなんだろう。

彼女は今、たとえば10月に予定されている国際学会に応募することすらできないそうだ。それは、コロナウイルスのせいではなくて、彼女が日本に住んでいる日本国籍を持たない人だからだ。

研究者やアーティストにとって、移動ができない、ということは死活問題に関わることでもある。

 

これから世界は閉じていってしまうのだろうか、と思うと怖い。

が、怖いとばかりも言ってられないので、何かしらの方法で抵抗していくしかない。

そういえば、同じくひきこもっている海外の友達から、日本のレジデンスについて「ここ知ってる?どんな感じ?」みたいなメッセージがちょくちょくくるので、そういうときは、みんなまだレジデンス行く気満々なんだね、懲りないね~と、アーティストの図太さを感じる。

だよね、図太くいこう。

MJ

2020/4/16 晴れていたような
2020年4月17日

昨日の日記をささっと。

ようやく確定申告を終わらせて、他のいくつかの郵便物も一緒に持って郵便局に行く。郵便局にはこの1ヶ月ですでに34回行っているので、いろんな人にものを送る必要があったんだなと思う。小川さんもそんなようなことを日記に書いていたような。いつも通り混んでいたけれど、窓口の顔の高さのところに透明のビニールシートが渡されていて、職員さんたちが飛沫を直接浴びないようになっていた。

今のこの状況でも働いている人たちがたくさんいて、その人たちには頭が下がるし、申し訳ない気持ちになる。

ツイッターで「四谷三丁目」さんという病院で働いているという方の手記が流れてきて、それを読む。

そして、友人からリンクが送られてきた台湾のデジタル大臣オードリー・タンさんのインタビューの記事も読む。

考える。

帰ってきて、細々したことをやり、本当だったらやらなきゃいけない仕事があったのだけれど、どうにも疲れていることに気がつく。

このところ読書もできていなかったので、カズオ・イシグロの続きを読もうと思ってしばらく読むが、眠くなってくる。2時間くらい昼寝をする。

起きたらもう夕食ができていた。食べる。

気分がふさぎがちだったので、ぼーっと見られる明るいコメディ映画でも見たいなと思って、ジュリア・ロバーツ主演の映画を見はじめたが、つまらないうえにツッコミどころが満載で逆にぼーっとできず、途中でやめる。スクール・オブ・ロックを見る。100点満点に面白かった。ありがとう。ちょっと泣けた。

あのジュリア・ロバーツが出ていた映画みたいなのを自分がつくっちゃう可能性を考えると怖いね。という話になり、つまらない映画とはなにか?という話になった。自分が今までに見たつまらない映画のどこがつまらなかったかを話しあっていたら盛り上がり、4時まで語り合ってしまった。

私はつまらない映画のことを全然覚えていなくて、冴えてなかった。高石くんはつまらない映画のつまらないポイントをたくさん提供してくれた。

MJ

2020/4/15 雲を通した白い光・晴れは晴れ・撮影には絶好の日和
2020年4月15日

今朝は人生2回目にコーヒーをいれた。いれながらおまじないを心の中で唱えていたら、プクプク良い感じの泡が立ったので、これはすごく美味しくなる予感がする、と思った。酸味があって爽やかな味わい、ブルーボトルコーヒーの味に似ていた。

さて、今日はまだ頭がすっきりしているうちにジョークについて書きたいと思う。

昨日の夜、布団に入ってからジョークについて考えていた。明日はジョークについて書きたい、と。

私はジョークが下手である。もしかしたら私のことを真面目でちょっとスクエア、やや面白味に欠ける、と思っている人がいるかもしれないけれど、それは私がジョークが下手なせいである。

今読んでいるカズオ・イシグロの『日の名残り』という小説の主人公であるイギリス人執事が、新しい主人であるアメリカ人のジョークに対してどう返したらよいのか悩むシーンがある。びっくりして口ごもってしまうばかりで、うまいジョークを返せないのはもしかしたら職務怠慢なんじゃないかと思って、頑張ってジョークを返してみたらとんちんかんなことを言ってしまったというエピソードだ。

私にも似たようなエピソードがあって、これがいつのことだったのか、誰と話していたのかは忘れてしまったのに強烈に頭に残っていて、ときどき思い出す。

 

私たちは何人かのグループでおしゃべりをしていた。たぶんお酒も飲んでいた。それで、誰かが「1人ずつ順番にジョークを言い合っていこう」と言い出した。

そう、ここで思い出したのは、私たちはそのとき英語で話していた。日本人同士で話しているときにジョークを言い合おう、なんて提案はまず起こらないから、ジョークというのはそもそも英語圏の文化なのかもしれない。

ともあれ、円形に座っていた私たちは、言い出しっぺから順番に時計回りにジョークを披露していくことになった。

お酒の席とはいえなかなかの緊張感で、一気に酔いも醒めた。こんなことを思いついた言い出しっぺを心の中で恨んだ。

それぞれがジョークを言っているのだけど、こちらは何を話そうかと考えるのに忙しくて聞いている暇なんてない。順番が近づいてくるにつれて冷や汗までかいてきた。

でも、「私はジョークとか無理だから~」などと言って辞退するのも興ざめな気がする。

ついに自分の順番が回ってきた。頭は真っ白で、そのときに思い浮かんでいたのは1つの話しかなかった。意を決して、話しはじめた。

 

ある夏、テレビでオリンピックの男子体操競技を見ていた。

それは個人の決勝戦だった。

つり輪や平行棒などいくつかの種目を次々にこなしていくような、いわばメドレーのような競技で、決勝戦だけあって、どの選手の演技も鮮やかだ。

あるとき、ある男性選手の顔がクローズアップで画面に映る。

その選手はこれから競技をするところで、これから本番だというのに余裕の表情で、ウインクでもしたそうな感じといえばいいのか、おおらかなナルシシズムに溢れていた。

「次はいよいよ、金メダル候補の〇〇です!」というアナウンサーの実況がイメージに重なる。

金メダル候補なのか、なるほどたしかにオーラがある、と私は思った。

 

選手が演技を始めた。

ひとつひとつの動きに無駄がなく、正確で、安定している。

つり輪をしているときの彼の腕の筋肉ははちきれそうなほど充満していた。

あん馬のあと、マットのうえでいくつかの宙返りを組み合わせたあと、両手を大きくあげて華麗に着地をした。

カメラは彼の顔のクローズアップを捉えた。

彼は満足の笑みを浮かべ、舌をペロッと出した。

その舌は、表面に生えている苔のせいで白かった。

高画質のハイビジョン放送のために、その苔のひとつひとつの凹凸が見えるようだった。

 

私はこの話を頑張って英語で話したのだけれど、話が終わったあとの雰囲気は忘れられない。

みんながあっけにとられて、ギョッとしたような顔で私を見ている。

これが事故というものだろうか。私は、こんな話をしてごめん、私にとっては面白い話だったんだけれど、英語だからうまく伝えられなかった!と言い訳を言ってごまかした。

それ以来、自分が面白いと思うことが他の人にとっても面白いとは限らない、ということを学んだので、あえて危険を冒して面白いことを言うチャレンジを放棄してしまった。サービス精神がないのかもしれない。

面白いことを言える人を本当に尊敬するし、魅力的だなあと思う。

でも一方で、この体操選手の話は、私にとってはものすごく面白くて、何度思い出してもここに何かの真理が隠されているような気がするし、この話にはリアリティと細部について自分が興味深く思っている部分が凝縮されていると思うのだ。

MJ

2020/4/14 気持ちのよい日差しだけど、カラッとしていてそれなりに風はつめたい
2020年4月15日

この引きこもり生活、やることがなくて時間があるかというとそういうわけでもない。むしろわりと忙しい。

今日は突然洗濯機が壊れたので、濡れたまま行き場がなくなった洗濯物を担いでコインランドリーに行って、そのあといつものスーパーに1週間ぶりに買い物に行ったらものすごい人出だったのでこれはいかん、危険だ、と思って、個人営業の八百屋さんに行った。

ピンピンしている菜の花とアジの干物と手作りのさつま揚げが美味しそうだったので、それらと、あといくつか野菜を買った。

帰ってきて、それらをすべてお湯と洗剤で洗う。やりながらいつも「パラノイドだよね~」と自分で

言うのだけど、一度やりはじめたらやらないと気になってしまう。

プラスチックの表面では23日生きのこるらしいですよね、コロナウイルス。

3.11のあとも数年間かなりパラノイドだったので、たまにそのときに気をつけていたことと、今気をつけなきゃいけないことがごっちゃになる。例えば、外のベンチに座っているときにすぐそばで埃ぼこりが舞い上がるようなとき、あっ危険だと本能的に思うんだけれど、一瞬あとに、あ、それは放射能のことで今回は土ぼこりは危険じゃないんだった、とか。

防衛本能が混線している。

今だって放射能はなくなっていないんだけれど、いつのまにか慣れてしまっている。慣れの力は思ったより強力だ。

このあいだ武漢のロックダウンのあと2ヶ月ぶりに「日常生活」に戻った人の手記を読んだ。

彼は、中国の大学で教えている先生なんだけれど、オンラインの授業にも慣れてきたし、いまさら電車に乗って大学まで行かなきゃいけないのを逆に面倒に感じたり、人々が何事もなかったように以前のように暮らしはじめていることに対して違和感を感じる、と書いていた。きっとその「日常生活」にも1週間くらいで慣れてしまって、ロックダウンの日々のことを、ああそんなこともあったっけ、くらいに思う日も近いのかもしれないけれど。

「日常」ってなんなんだろう。私はこのコロナの日常に慣れていきつつある。日常と非常は同時に存在できるんだな、と今思った。

 

あ、そうそう、うちには今、ベランダカフェと名付けたスペースがある。折りたたみ椅子とコーヒーと本を持って、「ベランダカフェ行ってくるね〜」と言うと、なかなか良い気分になる。

ベランダカフェにいると、向かいのアパートの共有廊下と玄関ドアが丸見えなので、向こうの住人からしたらなんかあの人ずっとあそこに座っていて覗き見されているみたいで嫌だなあと思うかもしれないので、基本的には本に集中するようにし、たまに風景を眺める。

ヒッチコックの裏窓という映画を思い出す。

数日前そのアパートのあるお宅に、「東京電力です。新しいサービスのお知らせにきました!」と元気の良い(大)声をだす営業の人がやってきた。

私は本から目を離さずに耳をすませていた。

明るくてさっぱりした感じの中年女性の「こんなご時世だからドアは開けられないけど、ね。お互い気をつけよう!」という声が聞こえてきた。

「ありがとうございます!またよろしくお願いします!」とよく通るハキハキした声で営業の人は挨拶をして、帰っていった。

MJ

2020/4/13 寒くて風が強いのを窓のこちらから感じる
2020年4月13日

今日は一日中確定申告のための書類作りをしていたので、疲れて頭がぼんやりしている。高石くんが晩ごはんを作ってくれた。たらとキャベツとエノキのレモンバター蒸しと、スンドゥブチゲ。おいしかったです。ごちそうさまでした。

朝起きたときにはあれを書こう、これを書こうと思っていたけれど、レシートをまとめてエクセルに書き込み税務署に電話して質問したりなんかしているうちに、そういうアイディアは奥の方に隠れてしまって今はリアリティがない。どうしよう。

とりあえず今感じるリアリティは自分は全然稼いでいない、ということだ。今まで見て見ぬ振りをして特に気にしていなかったけれど、確定申告をすると明らかにその事実が浮かびあがる。でも考えても仕方ないので、深く考えないことにする。

そろそろ制作を始めるべきだろうか。あ、べき、なんて書いちゃってる。これこれ、私は今回ここを反省しているんです。このコロナの状況になるまで、私はがむしゃらに働いてきた。正直言ってワーカホリックだった。そしてマーストリヒトから空港に向かって電車に乗っているとき、私はなんでオランダであんなに一生懸命だったんだろうか、とふと思ってしまったのだ。

オープンスタジオは大事だった、でもオープンスタジオはオープンスタジオであり、たった3日で終わってしまうものだ。もちろん頑張ったことを後悔しているわけではないし、あれを完成させられてよかった。でもあれを完成させるために犠牲にしたものを考えた。

日記を書き終わったらアップルパイを焼こう。昨日も母に電話をした。コロナの状況がまだヨーロッパでひどくなる前、ダイヤモンドプリンセス号の騒ぎがあった2月の終わりごろに祖母が腰をまた痛めて歩けなくなってしまい、入院した。コロナの院内感染防止のために入院患者との面会はいっさい禁止で、そのあいだに祖母の認知症がかなり進んでしまった。

退院したあとは、母と伯母が交代でもう1ヶ月以上泊まり込みで介護をしている。もう自主隔離の2週間は過ぎたので、私もシフトに入るよ、と言っているのだけど、母は、いいよ大丈夫、という。でも電話をして愚痴ったり政権に文句を言ったり笑い話などをしていると、笑い泣きしているのか、花粉症なのか、感情が高ぶって涙が出てしまうのか、とにかく鼻水をすする音が聞こえる。母が泣くのなんてこれまで見たことなかったけれど、この12年、たまに母が泣くのを見る。でもその涙は、たぶん良い涙。流した方が良い涙もある。私も泣き虫だからよくわかる。泣くことで感情も一緒に放出できるのだ。

私もオープンスタジオの準備のときに、じつは泣いてしまったのだ。どうしても理不尽なことがあった。仕事の場面で、その場で泣くのなんて初めてだったから、それが悔しくてまた泣いて、涙が止まらなくなってしまった。スタジオのドアを閉めて、1人で泣いていたんだけど、たまたまハシゴを取りに来た人に見られてしまい、そのあと次々に人が来て、どうしたのマイコ?といって、ハグしてくれたり、一緒に解決策を探してくれたりした。子どもみたいで本当に恥ずかしくて悔しかったけれど、でもみんなが助けてくれたおかげでなんとかなった。オープンスタジオが始まってから、泣いて解決するのなら泣くのが正解だったんだよ!と友達が言ってくれて、私は苦笑いしてしまったけれど、まあ、泣いてなかったらたぶん状況はひどかった。

なんかこんなことを書きたかったわけではないんだけど、でも母が私に気を許して泣いてくれるのは嬉しい。オープンスタジオの準備の途中で、テイクアウトのチャイニーズの店でテリヤキチキンボックスを待っているときに、母に電話して、こうこうこういうわけで泣いちゃったんだよ、恥ずかしかったよ、というと、母がそんな大変なことになったら私も泣いちゃうよ、といって本当に電話ごしに泣いていて、それが面白かった。

MJ

2020/04/12 意外に寒い曇りです
2020年4月12日

今日で家にこもりはじめて、えっと、25日目だ。数えてみると、結構長いですね。

319日にオランダから日本に帰ってきました。

3月初めにオープンスタジオがあって、それはそれで色々ドラマがあって、すごく頑張ってやったし反響もあって嬉しい~と思っていたら、その5日後にはレジデンスが閉鎖されることになり、さらにその4日後にはディレクターから「国に帰った方が良い。私があなたの立場なら帰る。荷物はとりあえず後で送るから明日にでも帰れ。」とものすごいシリアスな顔で言われて、まじか。。本当に?となり、友達からも帰るなら今すぐに帰った方が良い、国境が閉鎖されるかもしれない、と言われて、慌てて荷物を捨てまくり、本当に必要なものだけをスーツケース1つに詰め込んで、その2日後に飛行機に乗りました。

アムステルダムのスキポール空港は普段はハブ空港なので人が行き交っているのですが、トーマス・デマンドの作品みたいにガラーンとしてました。

直行便がキャンセルされていたので、ドバイ経由のチケットを取り、その日にドバイに帰る友達と一緒に旅をできることになってそれはすごく心強かったのですが、その子が空港へ向かう電車で「帰りたくない」と泣いていて、レジデンスでみんなにさよならを言うときも友達が泣いていたのですが、私はなんだか泣くような心境じゃなくて、とにかくあっけにとられて呆然としていました。

「また会おう、絶対会えるからこれは悲しいお別れじゃないよ。」と言って、でもハグはしちゃだめなんだよね、とお互い照れ笑いをしつつ、でもやっぱりハグをして別れて来ました。

成田空港の検疫では、普通にいつも通りに通過でき(いつもの靴底消毒強化中のマットの上を歩くだけ。靴底消毒して何になるんだ?)、私が帰国した2日後からEU諸国からの帰国者への検疫を強化するということだったので、まあそのあとはもうちょっと細かくチェックしているんだと思うけれど、そのときは非常事態の場所から戻ってきたので、ずいぶんのんびりしているなあと思いました。レストランもやってるし。

そのときはまだオランダからの帰国者は自主隔離する要請はなかったけれど、とりあえず隔離した方が良いだろうなと思って、そこからずっとこもってます。

一度だけ2週間過ぎたときに自転車でオンゴーイングには行ったけれど。

そのときもみんなと離れて入り口の方に立っていて、そしたら口調までなんだかよそよそしげになってしまって、展示を見たあとそそくさと出てきたけれど、なんか自分の態度変だったかな?身体の振る舞いが口調にも影響してくるんだな、なんて思ってしまいました。

 

最初はこもるのも結構良いな、なんて思っていたんだけれど、だんだん何かが溜まってきますね。

まだ隔離ビギナーだったころに、その頃すでに隔離20日目だったパリにいる友達からメッセージがきて、

「つらいよ。寝るかインドのグルのポッドキャストしか聞いてない。」みたいに言っていて、それやばいね、とちょっと面白く思ってしまったのですが、たしかに私も寝る時間は長くなってきてます。

もともと寝るの好きな方だからしかたないね、と言い聞かせつつ。

でもヨガはなるべく毎日やるようにしていて(のインドのグルとは関係なし)、マーストリヒトにいるときに通っていたヨガスタジオがオンラインヨガをアップしてくれているので、それで1時間のアシュタンガヨガ。

ヨガって独特の用語ありますよね。

英語が母国語じゃない人が英語でヨガを教えるのすごいなあと思います。

背骨をまげないように、肩は力を抜いて、そして息を吐きながらできるだけ前に手を伸ばす、とかなんて言い表したら良いのかパッと思いつかない。

 

そうだ、昨日すごく嬉しいことがあって、榎本さんから漫画が届いたのでした。

榎本さんのオンゴーイングの展覧会が中止になってしまったのですが、関連イベントのトークはオンラインでおこなわれるみたいで、そこで榎本さん、千葉さん、眞島さんと一緒に漫画についてお話しするという機会をいただいて、そのためにわざわざ榎本さんが送ってくれたのです。

ポストに茶封筒をみつけたとき、プレゼントもらったみたいに嬉しかったです。そのあと一気に読みました。

詩(文学)が榎本さんの体の中で消化されて、それが粘液みたいなかたちを自由に変えられる液体と固体の中間みたいなものになって、榎本さんの口からゲロっと吐き出されたみたいな、榎本さんが消化した世界を外側にいる私も体験できることのこのすごさ、みたいな。ことばが中心にあるのに全然言語的じゃない。そうそう、なんて書いて良いのかわからなくてまだ榎本さんにお礼のメールをしていなかったのだった。今からお礼のメールを書こう。

榎本さんの漫画はオンラインで読めるようです。

https://my.ebook5.net/koichienomoto/8jVggb/

 

そういえば、ちょっと前に『三体』という中国のSFを読んで、それもすごく面白かったんですよね。宇宙観が変わったと言うか。

高石くんが、ウイルスって宇宙人っていう説もあるよね、隕石にくっついて地球にやってくるって言っている人もいるよって言っていて、おお、それはなんだか面白いね。もう人類はすでに侵略されていたのか、というような話になりました。もちろん半分冗談半分本気の話ですけど。

もし『三体』気になるなという人がいたら、ネットに載っている情報などを一切読まずに、とりあえず読んでみてほしいなと思います。私も高石くんから借りて、事前情報なしで読んだので、ウッヒョーまじで!という週刊漫画の展開にわくわくする小学生のような気持ちを味わえました。その本もマーストリヒトに置いてきてしまいました・・・

 

なんだか、書き出すととまらなくなってくる。あれも書きたい、これも書きたい、となってきますね。

でもこれから1週間あるので、あまり飛ばしすぎず今日はここまでにします。

MJ

2020/04/11 頭はカレーでいっぱい
2020年4月12日小川 希

ダメだ、起きられない。昨晩のzoom呑み、途中から意識がなく、気づいたら、リビングで朝の7時。インターネットであろうが、呑み過ぎればこうなることはわかっていたはずなのに。東野さんおすすめの「こくいも」の1.8ℓパックが半分空になっている。こんにゃくのピリ辛炒めや、もやしのナムルはもちろん、買っておいた乾きものもすべて食べ尽くしている。そして頭が猛烈に痛い。そしてだるい。最悪のいつものやつ。パソコンの画面は誰もいなくなった状態を映し出している。何を話したか全然覚えてないけれど、楽しかったことだけは確かだ。しかし、これ続ていたら体おかしくするね。
筋トレやプランクもできそうにない。3日ももたずに終わるのか、と罪悪感でいっぱい。でも動けない。寝よう。午後の1時過ぎになんとか寝床をはい出す。カレーが無性に食べたい。二日酔いには辛いカレーしかない。カレーのことで頭がいっぱい。でも、他にも今日はやらなければいけないことが。文化庁の海外派遣の計画書の締め切りが今日なのだ。動かない頭で計画書を仕上げ、郵便局の本局へ。郵便局に到着すると長蛇の列。みんな、誰かに何かを送りたいのね。速達で郵送を完了し、次はカレーだ!
相変わらず頭が痛いが、西友へカレーの材料を買いに。食品売り場は人でいっぱい。これって、吉祥寺だけなのだろうか。コロナが怖い。食品売り場で豚肉をささっと買って、脱出。マスクもないから息は止め気味で。花を買おうか迷ったけど、今日はカレーに集中しよう。
お家に到着し、野菜と豚肉を一口大に切る。徐々に二日酔いが治ってきているが、時間を見たらもう夕方の6時過ぎ。「こくいも」おそるべし。1時間コトコト煮込んだカレーが出来上がる頃には、酒はいつのまにか抜けていて、ついつい赤ワインをグラスに注いでしまった。あー、これはではいけない。そうだ、体を動かそう。ストレッチと筋トレ、そしてプランクのアプリに従う。3日坊主は避けられた。明日もやろう。そろそろ焼き鳥屋にみんなと行きたいなぁ。あと娘にも会いたい。カレーは辛くて死ぬほどうまかった。

小川希

2020/04/10 たいじょうぶだぁの日もいつもワクワクしていた
2020年4月10日小川 希

今日も快晴。7時30分に起床して柔軟体操と筋トレをすます。プランクをやったと昨日日記に書いたら「プランクワークアウト」というアプリを紹介してもらった。ダウンロードしてそちらを立ち上げると30日間分のトレーニングプランがのっていて、初日のをさっそく試してみる。簡単に思えて結構辛い。腹筋がプルプル。いやブルブルか。明日もやってみるつもり。いつもよりゆっくりと新聞を読む。紙面はコロナで埋め尽くされている。志村けんが六本木の飲み屋でもいつも皆を笑わせていたという記事があり、しょんぼり。僕らはみんな志村で育った。
午後から仕事の打ち合わせ。インターネット電話を使う。映像も問題ないし音もいい。来年ウィーンに行ったとしても、子供たちとこうやって話せたらいいなと想像してみる。でも子供たちが付き合ってくれない可能性もある。上の子は中学生だし。おやじマジウゼー期が始まっているかもしれない。そしたらとても寂しいなと未来を憂う。ひとりぼっちのヨーロッパ。
会議も終わって、洗濯ものを干す。今日は、おしゃれ着洗い洗剤をつかって、セーターを洗ってみた。いつもはクリーニングに出すのだけど、まだこの騒動がおこる前に、おしゃれ着洗い用ネットとセーター干しをセリアで買っていたのだ。セリアは娘たちのお気に入り。ダイソーより断然いいらしい。僕にはあんまり違いがわからないけど。窓を開けると日差しが気持ちいい。これならすぐ乾くでしょう。セーターは縮んでも伸びてもいなかった。
そろそろ買い物に行こうかと時計を見る。今日の夜は、はやりのzoom飲み会。酒が切れたので近くのスーパーに行かねばならない。相変わらず街には人が普通に歩いている。僕もその一人なのだけれどね。スーパーには人がいなかった。夜を思い、お酒を物色。東野さんオススメの「こくいも」を発見。そのほかビールやウィスキー、つまみにこんにゃくともやしも。こんにゃくはピリ辛で炒め、もやしはナムルにする予定。あと乾き物も忘れない。なんだかとてもワクワク。気づくと大量に買ってしまった。早く夜にならないかなぁ。

小川希

2020/04/09 たぬきと天ぷら
2020年4月9日小川 希

「お酒飲みすぎないでくださいね」と心配されることが最近多い。そんなバカみたいに飲んでいるつもりはないのだけど、確かにこの騒動で酒の量は確実に増えた気もする。外を出歩くことも少なくなったし、いっちょ体を動かすかと、今日は目覚めてすぐにストレッチと筋トレを行う。時間をかけて柔軟体操を行い、その後、腹筋30回、背筋50回、腕立て20回、プランク1分。あー、ものすげー辛い。でもこれ一ヶ月続けたらポッコリおなかがへっこむかも、と、とらぬたぬきのかわざんよう。明日も続けよう。
1ヶ月間Ongoingを閉めると決めたら、途端に時間が大量にある気がしてきた。普段よりも多く映画を見たり本を読んだりしているけれど、それでも時間がある。おととい、山本くんとzoomで話をしていたら、「この時間を有効に使いましょう」とものすげー爽やかに言われ、「あぁ、うん」と返事をして、最終的にOngoingのwebサイトをリニューアルすることとなった。でも最近のweb事情わかってないから、誰か手伝ってくれる人をとりあえず探すことに。コロナ禍がすぎたら、すげーいいwebサイトができちゃうかも、と、とらぬなんちゃら再び。
時計を見れば、まだ3時過ぎ。やることがないわけではないのだけど、Ongoingが閉まっていることを思うと、なんだかシャキッとしない。こんな時は、料理でも作るかなと、栗原はるみ先生と高山なおみ先生の料理本をペラペラ。僕の料理の2大師匠。せっかくだからいままで作ったことのない料理にチャレンジしようかね。かんぴょうと椎茸の太巻きなんてどうだろうか。実家でよく出ていた気もするが、自分では作ったことはない。作れたら渋いぜ。実家といえば、最近自分で野菜の天ぷらをよく揚げるのだが、なかなか母親のようにはサクッとあげられず、こんなことならきちんとコツを教わっておけばよかったと思うことがあったり。あれれ。普段とは少し違った時間が流れるのも変化があってそんなに悪くはない。

小川希