Ongoing Collective DIARY

6月7日
2020年6月8日本間順子

6月も7日目にして、今日も天気がよい。
梅雨がくるのが怖いので、洗濯できる日に洗濯を。
祖母の家の庭で梅と杏を採ったのを、おばが宅急便で送ってくれた。杏の樹があるなんて、知らなかった。
新型コロナウィルスの感染の不安がなくなったら、祖父(故人)の書斎にある岩波文庫を借りに行きたい。ギリシア文学関連で何かあればよいのだけど。
今日の昼は母が「九州パンケーキ」を焼いてくれた。モチモチして、ガレットのような色をしている理由は、小麦に加えて、黒米やうるち米など米類、雑穀類が入っているかららしい。
食べながら、NHKの土曜ドラマ『路~台湾エクスプレス~』最終回を少しだけ観る。吉田修一の原作読んでみたいな。
来週中も課題に終われそうなので、日曜日のうちに仕事の大方を終えておくことにする。
夕食に母がハンガリー風のサーモン(本当はマス)のパプリカスープとホワイトアスパラガスの味噌マヨネーズのグリルを作ってくれた。おいしい。ハンガリーには2006年の6月に母と行って(私はバンコクから)、そこで会った夫婦が暮らすアイルランドに去年の6月母と行った。オランダ経由で行けたから、アムステルダムのライクス・アカデミーでレジデンスをしているカンボジア人アーティストのティット・カニタがスカルプチャーに使う工業用ワイヤーを東京から運んで行って、アムステルダム市内を歩いて、さらにマーストリヒトのヤン・ファン・エイク・アカデミーでレジデンスをしていた地主麻衣子さんのところにも遊びに行かせてもらった。そのときもホワイトアスパラガスを味噌マヨネーズで食べようと言って、有難いことにヤン・ファン・エイクのキッチンで作らせてもらった。(外食つもりでいてくれたのに、買い物してキッチンで作ったから、夜帰るの遅くなってごめんね!)
すごく楽しかった。いろいろおいしかった。
いつまたヨーロッパに行けるだろう?
去年、ヨーロッパから帰国してバタバタとカンボジアへ仕事で行ったり、大学院の入試の準備をしたり、またカンボジアへパフォーミングアーツをフェスティバルに行って帰ってきた後、しばらくして新型コロナウィルスが襲来した。もし、このまま翻訳の仕事が減り続けるなら、別の仕事を考えないといけないとも思っている。
フリーランスの持続化給付金を申請するつもりで、「学びの継続」のための「学生支援緊急給付金」は申請しなかった。
授業料免除が受けられればよいけど、その審査が通らない可能性もある。
新型コロナウィルスの影響で経済的な困窮を受ける学生を支援する、授業料半額免除を含む、学生支援法案が法律として成立しますように。
最終的には高等教育も無償化されてほしい。
いつでも学びたいときに学べる自由を。
                                         本間順子

6月6日
2020年6月8日本間順子

土曜日は遅刻を気にしないで寝ていられる日。
昨日買ったブルーベリーをグラノーラに入れて食べる。
来週納期の仕事に少し手をつける。
まだ手をつけられなかった夏学期(前期の春学期の通常授業の期間の終了後にある集中講義期間)の授業のオンデマンド授業の音声講義を聴く。その教科書を部屋に取りに行って部屋を出る際に扉を半開きにしていために、メガネが出入り口に当たって、セルロイドのメガネとテンプルをつなぐ金具の部分がバキッと抜け落ちて壊れてしまった。10年近く使っているので、経年劣化で仕方がないけれど、メガネとして何ともかわいそうな最期だった。去年つくったばかりのメガネも実は自粛中に顔か頭がやせてしまったのか、まっすぐ座っていても下方にずり落ち、下を向いて作業をすれば、大方落下するというストレスフルな状況にある。早くメガネをつくりに行きたいけれど、もう少し、感染が下火になるのを待ちたいと思う。新型コロナ流行前は、お店でいろいろ試してから似合うメガネを決められたけど、今は触るのも申し訳なく思うし、どんな感じで対応しているんだろう?
傷心のまま、昨日買ってきた冷凍の稲庭うどんを電子レンジで温めて、納豆とめかぶと、さらに余っていたゴーヤー入りの卵焼きで食す。冷凍のうどんはとても便利。いつもはコンビニの讃岐うどんの硬さが最高だけど、柔らかい稲庭うどんも好きなので、買ってみた。
夕方、オンゴーイングで展示が始まっている!永畑智大さんの個展「こまわり大陸からの、かたどり記念日」(〜6/14まで)の「オンゴーイング・スタジオ」での配信イベント「おくたま式箱庭療法〜吉祥寺から遠く離れて」を少し観る。広いお庭に永畑さんの彫刻があって、ゲストは佐塚真啓さん、和田昌宏さん、山本篤さん、吉田藍子さん、酒井貴史さん。トークのBGM?に小津安二郎監督の多分『秋刀魚の味』が聴こえてきて不思議な感じだった。
雷がずっと遠くで鳴っていて、タイやカンボジアのこういう時期がとても懐かしい。
夕食時の『ミスター・サンシャイン』を観終わった時点で、課題か仕事か、来週の予習をしないといけない時間割だけど、どうしても昼食時にアマゾンプライムで観かけてしまったスパイク・リー監督の『ブラック・クランズマン』(2018)の続きを観ずにはいられなくなって、続きを観る。もともとアダム・ドライバーが好きなので、観たいと思っていたけれど先延ばしにしてきて、今ジョージ・フロイド氏の殺害事件の後の「Black Lives Matter」の抗議デモが展開する今、なるべく観れるときに観ていかなくてはと思った。
奴隷解放のための南北戦争(1861〜1865)があり、その間1863年にリンカーンの「奴隷解放宣言」があったにもかかわらず、その後も150年以上に渡って、人種差別がなくならないのか。それを学び、理解する上でのキーワードが随所にあふれている作品だった。映画の中で話される「二重の意識」のE.W.B.デュボイスの『黒人のたましい』(1903)は日本語訳にもなっている。まだ授業で原文の一部を読んだだけなので、全編通して読もうと思う。
                                         本間順子

6月5日
2020年6月7日本間順子

香港の人々が6月4日の天安門事件の追悼集会を中国から禁じられていても、公園で集まって、ろうそくを灯していた。
私も心の中でろうそくを灯した。
オンライン授業もiPadでZoomをしながら、大学のプラットフォームにアクセスしたり、レジュメを見たりして、課題や仕事でほぼ1日中PCを使用しているので、さらにPCをきちんと終了しないうちに寝落ちしてしまうことが多く、PCの消耗がかなり心配。怖いので、Timemachineでバックアップは定期的に。
今日は午後イチのカンボジア語の授業後、久しぶりに買い出しに。
ラベンダーが植えられた坂道を上がって、買い物の前に父の歯科にご飯を食べにくる野良猫に会いに立ち寄る。何かのテレビ番組でチンアナゴを見た瞬間に、この野良猫に似ていると思ったが、やっぱりチンアナゴの眼をしていた。近寄ると2回もウアアと威圧された。
日頃の運動不足と、近所のスーパーでは飽きてしまったので、隣町のスーパーへ向かう。
途中、白い猫が寝ているのを見かけた。老猫のようで、寝ているような眼でこちらを見ていた。
初めて来てみたこのスーパーは、まず年中果物の種類が豊富だ。マンゴーやマンゴスチンもあった。他の支店に行ったことがあったから知っていたけど、やはりこのスーパーはオーガニックの野菜や商品が多い。保冷バッグを持ってこなかったので、ブルーベリーやホワイトアスパラガス以外は、レディメイドのパッタイや炊き込みご飯の素のパエリアなどを買って帰る。途中でマスク売ってますという薬局があり、のぞいてみたが、1枚100円だったので買わなかった。オンライン授業中心の生活で、外出の時間もない上、やはり感染リスクはできる限り避けたいので、マスクも今買わないといけないほどではない。
終電が終わってしまって、疲れた足で一駅歩くと遠く感じたが、今日はそう遠くは感じなかった。でもあのスーパー、うちの駅の方にできてほしかったな。
                                         本間順子

6月4日
2020年6月7日本間順子

今日は「虫歯予防デー」。
うちは祖父、父と歯科医なので、小さい頃から、小学生の「虫歯予防デー」の啓発ポスターのイメージの日。ありがたいことに今は治療済みで虫歯ゼロ。NHKのEテレの23時55分からの『2355』でも虫歯予防デーの話題が出ていた。
授業でノートを取ったり、カンボジア語の翻訳の課題はノートに鉛筆でまず下訳をしたりしていて、右手の中指にペンだこができてしまっている。
オンライン授業のいいところは、通学往復3時間くらいのエネルギーの消耗や感染リスク、定期券代といったコストを削減でき、課題提出期限いっぱいまで課題に時間をかけられることだけど、物理的に教室移動しないまでも、オンラインでもZOOMで遅刻しないように入場するのにやはり5分くらいの余裕は見た方がよいので、授業が連続すると、その点はオンライン授業も慌ただしい。映画を観る授業の後は、さらに明日のカンボジア語の課題。パーリ語の単語が多くて、読解は難しい。
NHKのEテレのバレリーナの柄本弾さんとティノ・ブルーノさんの『旅するフランス語』は第9回「宇宙へ行こう」は、前回放送されていたときに見逃していたので、つい観てしまう。フランス語では宇宙もスペースも「l’espace」なのか。
                                         本間順子

6月3日
2020年6月7日本間順子

アロエの効果は大きい。
ヤケドの痛みはほぼ取れた。
水曜日の授業は、社会人も留学生もいる大学院16名くらいの授業で、グループ・ディスカッションなども毎回しているので、オンラインでも発言がしやすい授業。
とは言え、一度も実際には会ったことがない。
普通のクラスだったら、授業の前後に少し話しかけたりできるようなタイミングがオンライン授業だとなかなか難しい。
前期が始まったばかりの頃はこの午後イチの授業の前に昼ごはんを済ませられていたのだけど、課題がいつも多くて、最近では授業後2時過ぎに食べるようになってしまった。
今日も録画した朝ドラの『エール』を観ながら食べる。
食事後は、Youtubeでライブ配信をしているニュースチャンネルを探して、それをかけながら翌日の授業の課題をする。
アメリカ、ミネアポリスのジョージ・フロイド氏の白人警察官による殺害事件への抗議デモとそれに関連するニュース。
「Black Lives Matter(黒人の命は大切だ)」について、アメリカで人種差別によって、くり返し命が不当に奪われてきた歴史は、4月から受けている学部の授業(大学院生も受講できる)アメリカ文学、特にアフリカ系アメリカ人の文化と歴史は、奴隷制についての理解から始まったのだけど、その授業を受けていなかったら、その理解はまた違ったものになっていただろうと思う。
水曜夜はEテレの満島真之介さんの『テレビでハングル講座』。一度観ている回だけど、韓国語の母音の成り立ちにある「天地人」の関係、さらに陰陽思想で母音が生まれていることが興味深くて、もう一度観てしまう。
                                         本間順子

6月2日
2020年6月7日本間順子

授業が午後からの日は、グラノーラに季節の果物、ヨーグルトを盛り合わせてゆっくり朝食を食べるのだけど、今日は課題に追われているので、簡単に個装のワッフルと果物とコーヒーで済ませて、NHK BS1の「世界のニュース」の11時台の再放送をかけながら、課題を提出前に確認して、オンライン学習システム上で提出し、次の課題に取りかかる。
昼食後のコーヒーを入れるときに、フィルターからマグカップへ落ちるのが遅いので、マグカップを持ち上げて軽く回したら、よそ見をした瞬間に、けっこう熱いコーヒーとコーヒーの粉が自分の左手の中3本指に吹きこぼれ、ヤケドをする。流水で冷やしてもけっこうジンジンしていて、ただ保冷剤を手で持ちながら、課題を続けるのも水が滴ってイヤだと思い、ベランダにあるアロエに「ごめんなさい、少し下さい」と謝りながら、肉厚そうな部分を一切れもらう。
小さい頃ヤケドした後にアロエはあまり効かなかった記憶があって、「効くのかな?」と疑心暗鬼に思いながら、左手に握っていると、ジンジンしていたのが小さくなっていく。流水よりも保冷剤よりも効くのが早いかもしれない。
オンライン授業を受けている部屋は西陽が入るので、これからの季節は暑い。もう冷房をつけてしまった。
                                         本間順子

6月1日
2020年6月7日本間順子

6月に入った。
大学院の授業(前期はオンラインともともと決まっている)も中間のタイミングで、普段の授業の予習に加え、発表や中間課題(いわゆる「アクティブ・ラーニング」)提出の準備で
ここ2週間、1つ終わったら、次へとゴールの見えないマラソンのよう。
社会人入学なので、ここに仕事が加わると(と言っても、新型コロナウィルス以前の4分の1ほどの量になっているのでかろうじてやりくりできている)、普段でも予習(課題のテキストなどを読んだり、翻訳したり)が終わらずに朝4時、5時就寝なので、本当にしんどい。
この調子なので、後期はもう少し登録授業数を減らそうと思う。
この数年、仕事の過労、栄養失調、睡眠不足で髄膜炎や肺炎になっている身なので、このままだと、家で自粛生活をしていても、免疫力低下は新型コロナウィルス感染リスクを高めてしまうので、何とかもう少し要領よく予習や課題ができるようにならないといけない。
午前中に一つ、授業が終わって、NHKの朝ドラ『エール』の再放送を観ながら昼ごはんを食べる。
今日は午後イチにNHK「BSシネマ」で1980年の光州事件を描いたソン・ガンホ主演の韓国映画『タクシー運転手 約束は海を超えて』が放送されるので、録画をした。なるべく早く観れるといいな。
仕事の最終チェックをして、明日提出の課題の映像を観て、今日はもう1つの授業。
最近、夕食を食べながらネットフリックスでイ・ビョンホン、キム・テリ共演の韓国ドラマ『ミスター・サンシャイン』を観ている。19世紀後半の身分制度による貴族に仕える奴隷一家の悲劇からスタートし、20世紀初頭の日本による韓国併合前夜の漢城(現ソウル)を舞台に義兵の抵抗運動とともに描かれる。
朝鮮の身分制度の厳しさ、欧米との関わり、義兵の動きと上海や東京の都市の関わり、併合前夜の日本の介入の様子など、今まで知らなかったので、もっと勉強しようと思った。
キム・ウンスク(『シークレット・ガーデン』、『トッケビ〜君がくれた愛しい日々』などの脚本家)脚本による、主人公が自らの出自を告白し、その聴き手の反応を描いた一連の会話シーンは、このドラマに限らない様々な体験と重なるような非常に鋭いものだった。
                                         本間順子

12月26日の日記
2019年12月31日本間順子

12月25日はカンボジアと英語の翻訳の締切りが1件ずつ重なっていた。
そのため、どちらも提出前のダブルチェックの日だったのだけど、2件目が終わったのは、今朝4時くらい。
そして2時間後には起きて、朝8時前には次の仕事へ…
去年の12月はこういう生活が祟って、肺炎になったから、次はしないぞ!と思っていたのにまたやってしまった…
8時台の電車移動はラッシュアワーで正直しんどい。でも、流石に師走も26日くらいになると、そろそろ仕事納めも近づき、車内もピークに比べたら、乗りやすくなっている。
大学院の入学試験前の準備段階から、もう本を読むぞ!という気でいっぱいなので、移動時間はとても有難く、楽しい。
最近、文庫本の裏表紙に付箋を一塊貼っておくと、とても便利だということに気づいた。立ちながらでも、気になるところに難なく付箋を貼っていける。ちょっと表紙がボコっとしてしまうけれども。ミハイル・バフチン著 望月哲男 鈴木淳一訳『ドストエフスキーの詩学』。バフチンによるドストエフスキーのポリフォニーに触れられていたヘンリー・ルイス・ゲイツ・ジュニア著 松本昇・清水菜穂監訳『シグニファイイング・モンキー -もの騙る猿る/アフロ・アメリカン文学批評理論』に引き続いて、自分の学生時代、そういう「文学作品の理論的な分析」はなく、ひたすら訳して読むことばかりで終わっていたから、そのように文学作品を理論的に読むことを学ぶのはとても新鮮で楽しい。
仕事前に駅ナカでお昼のパンを買う。パン屋が何軒もあって選び甲斐がある。打ち合わせが夜7時台なので、カロリー高めのを選ぶ。
仕事が早く終わって、次の打ち合わせまで本屋さんをのぞく。NHK Eテレの「100分de名著
」の亀山郁夫先生の「ドストエフスキー カラマーゾフの兄弟」の回のテキストを番組終了後にやっと買う。ユニセフに一部寄付される年賀状も一応買った。
人に紹介して頂いた初めましての方を引き合わせる打ち合わせも無事終わって、ほっとした。
長い一日だった。

コレクティブ・コレクティブで今後は大学院でカンボジア語のラップ詩研究をしたい、と威勢よく口にして、大学院受からなかったらどうしようと内心ひどく心配していたけれど!無事、来年から大学院修士課程で研究できることになったので(ただタイミング悪く、制度が改悪されて、2020年度から大学院は授業料免除の制度外が濃厚で非常に経済的には正直不安…)2020年はヒップホップのことばかり口にしているかもしれないけれど、精進いたしますので、どうぞよろしくお願い申し上げます!

本間順子

11月7日の日記
2019年11月11日本間順子

今回の日記は日付を完全に勘違いしていて、3日ばかり過ぎていた…。
*******
昨日夕食を食べながら、漬け物程度で冠せものをしていた奥歯の残っていた土台の歯の方が少しかけた。もうすぐカンボジアへ行くのに、その前に治さないと、旅先で完全崩壊するのは恐ろし過ぎるし、まだ40歳にもならないのに、この歳でもうかけてしまうのは、この先大いにショックだし、不安だ。

午後、奥歯の冠せものは無事修復された。ひとまずの安心。でも補強に過ぎないので、次かけるのが半年以内ということもありえると言われる…。

歯医者に出入りしているグレージュ系の珍しい毛色の野良猫おトラトラに『世界ネコ歩き』の岩合光昭さんのように「おトラトラはかわいいね」と言って、初めてやさしい顔で「ミャッ」と応えてもらい、とても気分が晴れる。

帰って仕事の続きをして、渋谷のル・シネマで上映中のアッシュ・メイフェア監督のベトナム映画『第三夫人と髪飾り』へ。タイトルから気になっていたことと、今月下旬の東京フィルメックス会期中に開催されるピッチングのワークショップ、Talents Tokyo 2019に新しい企画で参加されることもあり、その予習としても観た。監督自身の曽祖母の体験を題材にした19世紀のベトナムの農村を舞台とした本作が長編デビュー作!ですでに映像による語りの豊かな表現力を魅せていて非常に圧倒される。一夫多妻制で共に暮らす妻たちの意外な関係性であったり、男性であっても人生思いのままという訳にはいかない辛苦に、人の生き様を知り、その上で自分との闘いを知る若い第三夫人の感情のダイナミズムが直球で響いてくる。

帰宅して、ゲンロンの「東浩紀がいま考えていること・番外編――『大量生と虚構の問題』再プレゼン」のタイムシフト放送の残りの30分を観終わった頃、mac bookからおかしな音が聴こえ始め、再起動をかけても、画面が白くはてなマークのフォルダーアイコンしか出なくなってしまった。ハードディスクが認識できなくなったらしい…。2012年購入だからかなり無理をしていたのはわかっていたし、タイムマシンしなきゃ、しなきゃと思いながら直近ではバックアップができていなくて、自分の行動が悔やまれ、いろいろ悲しい…。でも、人生が新しいステージに動く時にPCはほぼ壊れてきたので、明日の大学院の合格発表もよい結果なのかもしれない。とりあえず、明日は勇気をもって合格発表とデータの救出だ。

本間順子

9月19日の日記
2019年9月21日本間順子

今はもう21日だけど、19日の日記を書く(ごめんなさい)。

今、ひたすら文献を読んでいる。
前回の日記で読んでいた長谷川町蔵・大和田俊之著『文化系のためのヒップホップ入門』で知った、
ヘンリー・ルイス・ゲイツ・ジュニア著 松本昇・清水菜穂監訳『シグニファイイング・モンキー -もの騙る猿る/アフロ・アメリカン文学批評理論』は、一読では難しすぎて理解しきれなかった。ここからさらに引用されている文献も読んでいけば、少しは理解が広がるのか?
でも、理解できない部分はちょっと脇に置いておいても、次の箇所にちょっとでも触れてしまっただけで、すごくハッとさせられて、これまで無自覚だったかもしれない文学の読み方が変わってくるのかな?と期待している。ただ、自由間接話法と直接話法、語り手の声と主人公の声、標準英語と黒人の方言、これはもう実際にこの作品を読んでみて体験してみるしかないなあ。

「自由間接話法をアフロ・アメリカンの語りに導入したのは、ハーストンであった。私が証明したいと思っていることがだが、ハーストンが、主人公の自意識における成長を自由間接話法を用いて描きつつ、アフロ・アメリカンの修辞上の戯れのさまざまな伝統的な様式を表現できるようになったのは、この革新によるのである。興味深いことに、ハーストンの語りの戦略は、テクストのふたつの極と、一見相反する語りの様式とを混ぜ合わせることに依拠している。相反する様式とは、少なくとも標準英語の語法によって始まる語り手による解説と、引用符や黒人の言葉づかいによって常に前景化される、登場人物の会話である。しかし、主人公の自意識が目覚めると、テクストは、彼女の成長を表象するために自由間接話法を用いるばかりでなく、語り手による解説の声が、黒人の登場人物たちの言葉づかいを帯びるようになる。そのため、いくつかの節においては、語り手の声と主人公の声を識別することが非常に困難になってしまう。別の言い方をすれば、ハーストンの言う非常に「装飾的な」自由間接話法を使うことでーそれは、語り手による解説と直接話法のあいだにある、第三の、あるいは仲介する言語と考えられるものだがー『彼らの目は神を見ていた』は、標準英語と黒人の方言、つまり小説の冒頭で言語上の対比的要素として機能しているふたつの声のあいだに存在する緊張を、解きほぐすのである。」
            p.286 「第5章 ゾラ・ニール・ハーストンとスピーカリー・テクスト」

(さらに…)

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