はじめに
子どもたちがこれからの社会を生きるために必要なものとはなんでしょうか。
英語?一般教養?それともコミュニケーション能力?
どれもとても重要なものだとは思いますが、それらに先立って必要なものとは”想像力”であると考えます。
何が問題かを理解するために
先に起きることを見据えるために
環境や状況に振り回されないために
そして他者を思いやるために
子どもたちが生きていくこれからの社会は、私たち大人が生きてきたこれまでの社会よりも、いっそう複雑さを増し、解決し難い困難な状況も増えていくことでしょう。その時に必要となってくるものは想像力であり、逆に言えば、それさえあれば多くの場面を乗り越えていけるはずです。その想像力を育てることができるもの、それこそが芸術であると私たちOngoing Schoolは考えます。
Ongoing Schoolは2019年に開校し、沢山の子どもたちがさまざまな芸術を体験してきました。
コロナ禍を乗り越え、今年2023年の夏、再び対面でのコースを再開します。
今回のOngoing Schoolでは「ラーニング」を大きなテーマに掲げています。「ラーニング」とは、講師が生徒に何らかの知識を教える、といった一方向性の学びではなく、講師を含めたその場に参加する全ての人々が、それぞれの知識や経験を共有しながら、双方向に学んでいくという新しい美術教育のスタイルです。これまで公言してきませんでしたが、それはOngoing Schoolを開校した当初より大切にしてきた方向性だったりもします。
「ラーニング」には、あらかじめ用意された答えがあるわけではありません。むしろ、その場に参加する人々が共同で「学び」を導き出していくことこそが大切なのです。そこで導き出された「学び」は、参加した人々の中で変化し続け、ずっと先になってから、フと立ち現れることだってあるかもしれません。「学び」の夏は終わらないのです。
Ongoing Schoolの講師となるのは、現代美術の第一線で活躍するアーティストたちです。今回も、子供たちだけではなく、大人も一緒に参加できるプログラムも多数用意しております。2023年の夏、子供から大人まで、共に「学び」を導く=「ラーニングする」みなさんをお待ちしています。
総合プロデューサー 小川希
ラーニングを体験する
2023年夏のOngoing Schoolでは、子供から大人まで参加できる6つの体験プログラムをご用意いたしました。一つでも、複数でも、もちろん全部でも、みなさんそれぞれの興味に沿った「ラーニング」のプログラムを自由に選んでみてください。バラエティ豊かな6つの入り口の先々には、終わることのない沢山の「学び」が広がっているはずです。
ラーニングを知る
レクチャー「それぞれのラーニングの現場から」
8月27日(日)18:00~19:00
国内外の美術館やアートプロジェクトでラーニングプログラムを展開・研究している方をお招きし、事例などをレクチャー形式で紹介いただきます。
参加費:1,000円
ゲスト:
酒井千波(さかいちなみ)
Young V&A(前V&A子ども美術館)ラーニングシニアプロデューサー
ロンドン大学視覚芸術学部現代芸術論MA修了。2012年~15年までテートモダン・テートブリテンでラーニング課アシスタントキュレーター。2015年よりV&A子ども美術館で子ども・家族向けプログラムの企画運営を担当。2018年よりYoung V&Aのリニューアルプロジェクトに関わる。
佐藤麻衣子(さとうまいこ)
アートエデュケーター
水戸芸術館現代美術センター 教育普及学芸員を経てフリーランス。令和3年度文化庁新進芸術家海外研修制度研修員。オランダ・アムステルダムを拠点に、プログラムコーディネート、執筆を行う。「袋田病院&フィフス・シーズン─精神科病院におけるアーティスト・イン・レジデンス」プロジェクトマネージャー。
吉田絵美(よしだ・えみ)
世田谷美術館普及担当学芸員
Ongoing Collectiveメンバー
1989年生まれ、長野県出身。現在、世田谷美術館普及担当学芸員。成人対象の長期講座「世田谷美術館美術大学」の企画・運営や、アーティストによるワークショップ、小中学生のための鑑賞プログラム等に携わる。またパフォーミングアーツのプログラムも担当。学生時代にアートプロジェクトTERATOTERAのボランティア、事務局スタッフを経験。
ラーニングを考える
クロストーク「これからのラーニング」
8月27日(日)19:20~20:30
「ラーニング」とは結局何なのでしょうか? 「Ongoing School 終わらない夏」でのワークショッププログラムを振り返りつつ、レクチャーのゲストも交え、「これからのラーニング」を考えます。美術教育や生涯学習に関心のある方、美術関係者のみならずどなたでもご参加いただけます。
参加費:1,000円(レクチャーを参加の方は500円引き)
登壇者:
【ラーニングを体験する】プログラム講師陣、
【ラーニングを知る】プログラム登壇者
モデレータ:小川希 Ongoing School 総合プロデューサー
未来の子どもたちのために
アーティストたちが未来に責任を持ちながら考えたそれぞれのプログラムは、学校の図画工作の時間とも、美術館での作品鑑賞とも違った生のアートが立ち上がる瞬間に触れる体験を子どもたちに提供する。勿論、今回のプログラムが完成形ではない。そもそも教育に完成形などはない。私たち大人が、アートを通して子どもたちを社会に迎え入れるとはどういうことなのか?Ongoing Schoolは、終わらない試行錯誤を続けていく。
プログラムディレクター 山本高之(やまもと・たかゆき)
1974年愛知県生まれ。愛知教育大学大学院修了後渡英、チェルシー・カレッジ・オブ・アート・アンド・デザインMA修了。 小学校教諭としての経験から「教育」を中心テーマのひとつとし、子どものワークショップをベースに会話や遊びに潜む創造的な感性を通じて、普段は意識されることのない制度や慣習などの特殊性や、個人と社会の関係性を描く。近年は地域コミュニティと恊働して実施するプロジェクトに多く取り組んでいる。 テート・ギャラリーの教育普及プログラムのリサーチでロンドンに1年間滞在(2017)
お申込み方法
こちらのフォームよりお申しこみください
https://docs.google.com/forms/d/e/1FAIpQLSfoBJmviZsuXkyE7YCXQCSksAbBg_r_DCfRbeiuxpg1ORfaXg/viewform
お問合せ先
Ongoing School事務局
school@ongoing.jp
会場:アクセス
Art Center Ongoing
東京都武蔵野市吉祥寺東町1-8-7
TEL: 0422-26-8545
Ongoing School2023 運営メンバー
阿部葉子、出津京子、池田諒、うらあやか、小川格、小川希、小山友也、鷺山啓輔、東野哲史、二藤建人、山本高之、吉田絵美
チラシイラスト 飯川雄大
チラシデザイン 檜垣有希