久しぶりに大学からの仲良い友人に会った。今日は鳥取からの出張で、明日は小豆島に行って営業らしい。仕事はUberみたいなサービス提供してるやつ。
–岡山に引っ越して、最近なにしてるの?
久々に会った友人から聞かれる、定形ともいえる質問をされる。
–最近は街のことも少しわかって、仕事終わりの余暇を楽しんで映画行ったり、健康に気遣って運動したりしてるよ。
そして言われた。
–なにつまらないOLみたいなことしてるの?
言われてしまった。
確かにこの街は東京に比べたら平和だ。震災後に引っ越す人が多いのもわかる、豊かで落ち着いた、そんな街だ。人も穏やかで、少し排他的なところもあるけど、もろもろ整っているコンパクトシティで暮らしやすい。
だけど平和や安定が一番とは限らない。面白い文化が生まれるにはやっぱり少し狂ってないと面白くない。岡山に山本太郎がきてもさほど盛り上がらないように、この街は暮らしやすくて良い分、みえてこない部分もたくさんある。
最近、豊かさってものについて考えてしまう。前に東京ではレンタル何もしない人、という人物が話題になっていると聞いた。交通費さえ出せばどこにでも出張し、なにもしないけどその人のしたいことに付き合うという人がいるらしい。これを聞いたとき、やっぱりこれは東京でしか生まれない文化だなと思った。溢れ出す気持ちをどこにぶつけていいか迷ってるいる人に差し出されるひとつの救いの手段。そういうあらゆる世界の深淵をみつめていかないと新たな文化やムーブメントは生まれないんだなぁ、と痛感させられた。
とりあえず、居心地の良さに怠けてはいられないって思う。最近、安部公房の『鞄』を改めて読んだけど、あれは面白いですね。なんとも心地の良い鞄を手にして、どこまでも歩けることを知った主人公が、最後は自由を実感する。選挙もあったりして、自由ってなんなんだろうなって思うけど、やっぱり自由を目指していかないと本当の豊かさには繋がらないのかな、って考える今日この頃。
阿部葉子