来年の企画のためにここのところずっと調べ物をしていた。せっかくなのでちょっと書いておきたい。
去年の11月、フィンランドでたまたまニコライ・スミルノフさんという、ロシア人のアーティスト兼キュレーターとあって、話がめちゃくちゃ面白いからその後も連絡とったり、彼の書いたものをちょっとずつ読んでいた。
https://www.e-flux.com/journal/97/252238/left-wing-eurasianism-and-postcolonial-theory/
これはロシア革命前後にロシアで流行った「ユーラシアニズム」という神秘主義に関する文章
そのニコライさんがウラルビエンナーレでやっていた展示がめちゃくちゃおもしろそうだった。
まずタイトルが「死、不死、そして地下世界」。
で、パッと見、怪しすぎる作品たち。ちょっと権利上画像のせていいかわからないので、リンクをみてほしいんですが、ただ、まだロシア語の説明文しかない。
本人に英語の要約をもらったんだけど、いきなりこんな感じではじまる。
「地底世界の力(ソニックフォース)は人間にとって重要な資源を膨大に秘めており、それらは死/不死という問題の解決とも密接に関係している。このプロジェクトは最終的にガイア政治学へと発展するであろう、地下政治学(ソノポリティックス)の研究であり、人間と大地の内部の力との関係を構築するためのものである。」
まず話がデカすぎる。ハンターハンターの暗黒大陸編が始まりそうな勢いだ。
展覧会には、彼が選んだいろんな資料とか、他の人の作品とかが展示されている。画像だけ見ていても面白いんだけど、どうやら、ネクロマンサー(死者の霊と交信する人)とか氷漬けのマンモスとか、永久凍土の下にある地下美術館などが出てくようだ。
俺はホラーな話苦手なのでちょっとビビってしまうんだけど、自分のやってることとちょっと関わりがあって、かつ自分が絶対にやれないことなんで、めちゃめちゃ興味がある。この人となんかやれたらと画作しているところです。
彼の文章には最後にこんな一節も出てくる。
「現代のシャーマンたちは これらの古く強大な力が復活するのを恐れ、死者たちの世界を乱すべきではないと警告する。同じことを新しい存在論、非−人間中心主義的な存在論を支持する人々は積極的な形で表現している。地球の内部に秘められた力が人類によるこの星の簒奪を食い止めるだろう、と。エコ進歩的な「地質学的フェミニズム」はこの星の生きている自然を信仰しており、地球の霊/力と祖先の霊を敬い再びそれらと交渉していこうと呼びかけている。この点ではアミニズムは「人新世」などの最新のエコロジー思想と問題を共有しているし、高度にエコロジカルな意味をもつのだ。」
ここからもわかるように、彼の視点は今流行っている?新しいエコロジー、とりわけブリュノラトゥールによる「クリティカルゾーン」(先週からカールスルーエのZKMで美術展としても開催しているhttps://critical-zones.zkm.de/#!/)とも通底していて、かつそれらの自然科学的アプローチに対するオルタナティブになりうると考えています。
うまく企画できるといいんだけど、、ところで思い出したんだけど、ニコライが明日帰るからちょっと飲もうぜ、泊まってるとこにお酒あるから、と呼んでくれたんだけど、酒あるっつてもエストニア土産のヴァナタリンとかいう、めちゃ甘くて、かつ度数が40%以上あるリキュールしかなくて、しかもそれいきなりグラスでグイグイのんでて、ふつうに一本空けてた。ロシア人の噂本当だった。