2019/08/15 まぬけではない保証

朝「おなかいたいな」とおもいながら目覚めた。
池田も数日前にお腹がおかしくなって、おおごとになってCTとか内視鏡とか検査した結果とても綺麗なお腹だということが判明しただけだからほんとうによかったんだけれど、自分もほんのり同じ時期におかしいお腹を抱えていて、だけどほんのりだったのが、じわりじわりと強くなってきている。それで二人で思い当たるのはめちゃめちゃ美味しい表面だけ焼いたレバーで、だからおそらく食中毒だろうと思っているんだけれど、昨日いさじさんにその旨を言ったら「食中毒なんてなかなかなる人いないよ、よっぽどまぬけなひとしかならないから」と発言、自分がまぬけではない保証はない…、と思って、二の句がつげなかった。
普通に過ごしているとふと、イテテ、と胃がきゅとなる瞬間があって、だけど普通に過ごせるから過ごしているけどその普通には痛くなる予感が含まれていて、やり過ごすようにしか過ごせない。
午前中がほとんど溶けて、じゅんびじゅんび、と、じゅんびしてたらもう病院から帰ってきた池ちゃんにあってしまって、おなかいたいんじゃ的会話を交わして、家を出る寸前、部屋の北側の隅を見てじっとする瞬間があった。


ざばりとした雨が降ってはやむ、謎の天気。
踏切を渡ってしばらく歩いたところで、踏切で後ろで会話していた男女がはるか前方に自転車で進んでいっているのが見えて、いつのまにか、断片的な世界の理解だ、おなかに自分がやられているよ、と思うのと、自転車で大丈夫な天気だったのかな、と思う。

乗ろうと思っていたバスが土曜ダイヤで、バイトに微妙に絶対間に合わないピンチ!になって、ピンチじゃない方法をどうにか探そうとするが微妙に歩ける距離でこの感じになっているのは、土曜ダイヤだってなんだって調べればよかったのもあるしそもそもにはただギリギリ間に合う時間に家を出なければよかっただけであるから自分の外側の何にも恨めない。ばか。と思って歩きながら、脳裏にさっき部屋の隅を見てじっとした瞬間のことが浮かんでいた。左の木の上にピンクの花、進んだ右下の生垣に黄色い丸い実が過ぎていった。オンゴーイング方面にいくクロネコヤマトのトラック、いつものよしみで乗せてくれないかな、ないんだよな〜と住宅街の中の一本道を歩いて行くとシャッターのあいたオンゴーイングが見えて、なぜなら小川さんに連絡をしたら開けにきてくれていたからで、ほんとうにほっとした。謝る。



2時から高校2年生の目がめちゃめちゃキラキラした子がインターン的手伝いに来てくれて、「「自分はもう終わりだ」という気持ちがした。」というのは小川さんに夜あった時に言ったことだ。
おなかいたやりすごし感覚によってか、話すのがいつもにも増して遅い気がする。
腹に力が入らなくて思考がまとまらない。



タルト台焼く。



ナス、モロッコいんげん、明日のために仕込む。
翌日のパーティーのことをなんとなくしか決められない。お腹で考えられないからかな、食べ物のことはお腹で考える部分なおさら多いかもしれないなど考える。
歩いて帰宅。
イテテ、と思ったあとクリーム色の赤いハーネスをつけた柴犬みたいな形の犬がおしっこしているのを見た、そのあとこっちを見た、そのあと足元右下にティッシュみたいな花がおちて沢山たいらになっているのが見えた。LG21が胃にいいらしいと読んだので売り場にあった2つ中2つを買って帰る。他にも胃に苦しんでいる人がこの地域には多いのだろうか。薄い膜とその内外という雰囲気のイメージで、こんなに体の内側からの影響が強いならば外側ばかりで自分の出来事を起こしていくのもそんなにいい手じゃないかもななど、目の前の塾の名前を頭の中で意味なく読み上げたりしながら、歩いて、木槌みたいでそうではなさそうなものが落ちているのと、薄ピンク色の湾曲したレンガのかけらが落ちているのを連続で見た。



帰宅してしばらく話すと、自分の最近の後悔のある懸念事項についてとてもよいアイディアをくれて、感動した。今日も一瞬それについて考えて後悔の念にぎゅ、と体が潰される気持ちがする瞬間がキッチンであったからありがたいことだ、と伝える。全然食べてないから痩せたかなと思って体重を測ったら全然変わってなくて、せっかくなのに?!という感想が生まれた。日記を書かなきゃいけないんだと言いつつ、おなかをやり過ごすきもち、髪切ろうかな、流行っている髪型にしなよ、と言われたが流行っている髪型のイメージが頭に何も浮かばない、調べることなくなし崩し的に就寝。



夜中、風が建物に当たる音で何度か目が覚めた。
朝起きて、池ちゃんがもらったなぞのとろりとした緑色の胃を保護する液体をもらって10ml飲む。昨晩「なにそれ」「とろっとした液体」「絶対に飲みたくない」と発言したが、飲んで、「すきかも」と思って言った。それで日記を書いている。ちびまるこちゃんの体育館の授賞式なのに腹痛でピンチ的エッセイで「こんなに言うことを聞いてくれないおなかが自分の一部なんて到底思えない。」という記述があったことをさっき思い出した。明日も胃が痛かったら病院に行こうとおもうけど、平気は平気で、でも世界の解像度が低い。



齋藤春佳